返ってきたヘアクリップ
隣の部屋の親切な女性とのメッセージです。留守のあいだに、誰かが部屋に入っているようです。
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管理人 くろこ
8月30日(日)
9月8日(火)
9月11日(金)
9月14日(月)
9月20日(日)
9月26日(土)
八月の終わり、霜見駅から歩いて十二分の古いアパートの二〇二号室に越してきた。初めての一人暮らしだ。管理はミツバ住宅管理の森下さんで、緊急連絡先の末尾は2811。
外階段は錆びていて、外廊下は灰色のコンクリートがむき出しのまま。そのかわり洗面所のタイルが水色で、それだけでこの部屋に決めた。小物も、つい同じ色でそろえてしまう。
隣の二〇一号室は岡部さんという女性で、ここに住んで十年になる。困ったことは、たいてい岡部さんに聞いている。
隣の部屋の親切な女性とのメッセージです。留守のあいだに、誰かが部屋に入っているようです。
›ヒント1
スリッパの向き、ヘアクリップ、排水口の髪。誰かが部屋に入っているとしたら、どうやって入ったのでしょう。
›ヒント2
9月11日、ヘアクリップの写真を撮った場所の床は、何色だったでしょうか。それから、新しい鍵を取り付けたのは誰だったでしょう。
›解説を読む(ネタバレ)
ひとことで言うと
替えた鍵は、交換したその日に隣人の手に渡っていた。
そう言える理由
- 1
「床の色とそっくりで、あやうく見落とすところでした笑」
→ 灰色の廊下ではなく、水色のタイルの洗面所で撮った写真。
- 2
「前の方も、替えてすぐは、よく眠れるって言ってました」
→ 前の住人も鍵を替えた。そのあと、何も言わずにいなくなった。
- 3
「新しい鍵は、交換の日に森下さんから一本いただいています。」
→ 鍵の交換は、隣人に新しい鍵を渡すための手順だった。
記録室の追記
ミツバ住宅管理の記録によると、二〇二号室にはこの十年で五人が入居し、五人とも一年たたずに退去しています。
そのうち四人の退去の連絡は、本人ではなく、二〇一号室から届いていました。
›もっと詳しく
部屋に入っていたのは岡部さんで、ヘアクリップの写真も、灰色の廊下ではなく水色のタイルの洗面所で撮られていた。鍵の交換を勧めたのも岡部さんで、取り付けた森下さんはその日のうちに、新しい鍵を一本、岡部さんに渡している。前の住人も同じように鍵を替えて「よく眠れる」と言い、赤茶色の目地と血のついた髪の束を残して、いなくなった。
入口は留守中の部屋です。スリッパの向きが変わり、洗面所に置いたヘアクリップが「廊下に落ちて」いて、排水口からは根元に皮と血のついた髪の束が出てきます。岡部さんは、前の住人が鍵を一本返さずに出ていったと言い、小寺さんは警察より先に鍵を替えました。ここまでは、古い鍵を持った誰かが入っているように読めます。
けれど、写真の床はクリップと「そっくり」の色でした。灰色の廊下ではなく、水色のタイルの洗面所です。鍵の交換を勧めたのは岡部さんで、取り付けに「その日のうちに」来た森下さんは、新しい鍵を一本、岡部さんに渡していました。前の住人も鍵を替え、「よく眠れる」と言い、目地に赤茶色を残していなくなっています。小寺さんが戻るのは、明日の夜です。
続報あり
この記録には、その後の記録が届いています。
引っ越し先のお隣さん ›

管理人 くろこ
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