くろこの記録 第7話
お通夜の芳名帳
七年前の、みさきのお通夜の芳名帳が届きました。記帳した人の名前と、いちばん下の一行を見てください。
- 本編
- 違和感
- 家族


管理人 くろこ
芳名帳
- 故人
- 故 早瀬みさき(3歳)
- 通夜
- 2019年9月14日(土) 自宅にて
- 喪主
- 早瀬
ご芳名 / ご住所
川村 登志子 霜見市北町
川村 誠 霜見市北町
野口 霜見第二団地7号棟301
森下 霜見 記録の会
みさき ここ
四十件目の記録は、芳名帳でした。2019年9月14日。みさきの、お通夜です。
その夜、わたしは納戸にいました。扉の向こうで、知らない人の足音がして、お線香のにおいがしたのを、覚えています。次の週も、みさきは保育園に通っています。020の棚の、出席簿のとおりです。
記帳は、五つ。森下さんの字は、まっすぐで、きれいで、どこにも違和感がありません。
いちばん下の一行だけ、鉛筆です。指でこすると、黒くなりました。ほかの字は、七年ぶん、うすくなっているのに。わたしの字に、よく似ています。
七年前の、みさきのお通夜の芳名帳が届きました。記帳した人の名前と、いちばん下の一行を見てください。
›ヒント1
芳名帳の日付を、020の棚の出席簿とくらべてください。お通夜のあとも、みさきは毎日、保育園に来ています。
›ヒント2
鉛筆の一行だけ、こすると黒くなります。この一行は、いつ書かれたのでしょう。「ここ」とは、どこでしょう。
›くろこのメモを読む(ネタバレ注意)
気になったところ
- 1
「霜見 記録の会」
→ 七年前のお通夜に、もう、記録の会が来ていた。
- 2
「霜見第二団地7号棟301」
→ 町の記録で、何度も見た部屋。七年前から、そこにある。
- 3
「指でこすると、黒くなりました。」
→ この一行だけ、七年前ではなく、このごろ書かれた。
記録室の追記
芳名帳は、040の棚に収めました。
ゆうべから、扉の外の声は「ママ」ではなく、「くろこちゃん」と呼んでいます。
›くろこの考え
みさきは、9月12日に用水路で見つかって、14日に、この家でお通夜をしました。そして13日から、保育園に通っています。おかあさんは、みさきを見送った次の週も、みさきを迎えに行きました。記帳した人たちは、それを知っていたのでしょうか。森下さんの字には、ためらったあとが、ひとつもありません。
鉛筆の「みさき」は、三歳の字ではありません。七年たって、ちょうど、わたしくらいの子が書く字です。住所の欄には「ここ」。この芳名帳は、扉の下から来ました。扉の向こうの、この家の、どこかから。

管理人 くろこ
毎晩21時に、記録が3件増えます。
次の記録まで(No.041〜043・3件)
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