夜の相談室
深夜の相談チャットの記録です。相談員の返事は、いつも早すぎて、正確すぎます。
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管理人 くろこ
9月3日(木)
9月8日(火)
9月15日(火)
9月22日(火)
9月26日(土)
八月に、転勤で霜見市に来た。知り合いはひとりもいない。夜、眠れなくなった。
市の広報に、夜の相談室「ともしび」の案内が載っていた。文字だけで相談できて、深夜もあいている。担当は、ユウさんという人だった。
ユウさんの返事は、いつもすぐに来る。三週間前に一度だけ話したことも、ちゃんと覚えている。人間にしては、よくできすぎていると思った。
深夜の相談チャットの記録です。相談員の返事は、いつも早すぎて、正確すぎます。
›ヒント1
ミナさんは、ユウさんをAIではないかと疑いました。人間ひとりにしては、覚えていることが多すぎます。
›ヒント2
9月8日の2時すぎ、ユウさんは何を「お待たせ」したのでしょう。ミナさんが相談のなかで話したことを、並べてみてください。
›解説を読む(ネタバレ)
ひとことで言うと
相談員ユウは、交代で彼女を記録する何人もの誰か。
そう言える理由
- 1
「すこしだけ、お待たせしました」
→ 2時に、ユウの中の人が入れかわっていた。
- 2
「部屋の鍵がひとつしかない」
→ 相談のつもりで、部屋の守りの弱さを自分で話していた。
- 3
「窓のほうに頭を向けたら」
→ 眠っているときの頭の位置まで、記録されていた。
記録室の追記
ともしびの案内は、今月の市の広報にも載っています。
ミナさんの部屋の鍵は、今もひとつです。
›もっと詳しく
ユウさんはAIでも、ひとりの人でもなかった。夜中の2時に交代する何人もが「ユウ」として返事をし、ミナさんが話したことを記録に書き足していた。左きき、鍵がひとつ、窓のほうに頭を向けて寝ること。最後の連絡は、彼女がもう眠ったことを、次の担当に伝えるものだった。
入口は、相談員の返事の早さと、覚えていることの多さです。三週間前に一度だけ話した犬の名前まで、すぐに返ってくる。ミナさんと同じように、読んでいる人も「AIなのでは」と思います。
けれどユウさんは、機械ではなく、何人もの人でした。9月8日、2時をまたいだところで返事が少し途切れ、「お待たせしました」と言ったのは、交代したばかりの人です。ミナさんが眠れない夜に話したことは、ひとつ残らず記録に足されていました。鍵がひとつしかないこと、窓のほうに頭を向けて寝ること。最後の連絡は、今夜はもう眠った、という知らせでした。

管理人 くろこ
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次の記録まで(No.038〜040・3件/本編 第7話)
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