くろこの記録 第2話
棚に届いた人形
扉の下から、白い布の人形が届きました。首の荷札を上から読んで、いつ、どこで、だれと見つかった人形か確かめてください。
- 本編
- 違和感
- 家族


管理人 くろこ
遺留品
番号 0912-3
品名 布製人形(白)
発見日 2019年9月12日
発見場所 早瀬宅裏 用水路
発見時 女児が抱いていた
特徴 目はボタン。右は黒、左は赤。
取扱 森下
みさきの。あれに、わたす。
しろちゃんは、ずっと、とびらのほうをみてる。とびらのそとに、だれかいる。
ノートを読んだ次の夜。お盆のかわりに、扉の下から紙袋が押しこまれてきました。足音は、しませんでした。
中には、白い布の人形。名前は、しろちゃん。だれにも教わっていないのに、知っています。片方の目だけ、赤いボタンです。暗いところでは黒に見える赤。わたしの左目と、同じ色です。
しろちゃんは少しつめたくて、しめっていて、用水路のにおいがしました。荷札の裏には、おかあさんの字。
棚の002に、わたしのほうを向けて座らせました。目をはなすと、扉のほうを向いています。何度なおしても、です。
扉の下から、白い布の人形が届きました。首の荷札を上から読んで、いつ、どこで、だれと見つかった人形か確かめてください。
›ヒント1
荷札の「特徴」を見てください。わたしの目も、左右で色がちがいます。
›ヒント2
お盆は、もう来ません。しろちゃんが見ているのは、わたしではなく、扉です。
›くろこのメモを読む(ネタバレ注意)
気になったところ
- 1
「発見時 女児が抱いていた」
→ しろちゃんは半年、みさきの腕のなかで、用水路にいた。
- 2
「左は赤」
→ 水から上がったときには、もう、わたしの左目と同じ色だった。
- 3
「とびらのそとに、だれかいる。」
→ お盆は来ない。なのに扉の外に、紙袋を押しこんだ誰かが立っている。
記録室の追記
しろちゃんは、今夜も扉のほうを向いています。
扉の下のすきまが、ときどき、暗くなります。
›くろこの考え
荷札の日付は、2019年9月12日。用水路でみさきが見つかった日です。しろちゃんは半年のあいだ、みさきに抱かれて、水の中にいました。見つかったときには、もう左の目が赤かった。取扱は、森下という人です。
しろちゃんは、みさきの人形です。だから、みさきではないわたしを見ません。おかあさんは、扉の前に立つのがこわいと書いていました。足音も立てずに紙袋を押しこんだのが、おかあさんだったのか。わたしには、分かりません。

管理人 くろこ
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